『世界の知床』を未来に
自然遺産に登録
<フォトルポ> 保全へ高野環境副大臣(公明党)ら視察
北海道・知床(しれとこ)が7月17日に世界自然遺産に登録されたのを受け、高野博師環境副大臣(公明党)は同30、31の両日、地元・斜里(しゃり)町と羅臼(らうす)町を訪れて、登録地域の現状を精力的に視察。さらに31日午後には釧路管内で、湿原での自然林再生事業などを見て回った。公明党からは鰐淵洋子参院議員と戸田芳美・北海道議、高橋政行、佐々木玲子の両・網走市議、斉藤恵美子・北見市議が同行した。
人との共栄めざして
海域管理、観光とごみ問題など
屋久島などの教訓生かし ルールづくりに知恵を
オホーツク海に突き出た北海道・知床半島。世界自然遺産への登録地域は斜里町と羅臼町にまたがり、半島の真ん中付近から先端部分までと、沖合3キロまでの海域の、合わせて約7万1000ヘクタールになる。
特徴の一つは、海と陸とが一体となって、複合的な生態系を形成していること。知床は、流氷が接岸する世界で最も低緯度の地域。流氷に付着した植物プランクトンが春に大繁殖し、それを食べる動物プランクトンや魚類も繁殖、魚を目当てにアザラシやオジロワシなどが集まる。また、産卵で河川を遡上するサケをヒグマがエサとし、他の小動物もおこぼれにあずかる。国際自然保護連合(IUCN)も、命を育む流氷を始点とした陸海一体の食物連鎖を「海と陸の相互作用が見られる希少な地域」と評価した。
もう一つの特徴は、流氷に削られた断崖の海岸線と、火山活動による急峻な山並み、厳しい気象環境などが人類の開発を阻んできたことで、手付かずの自然が残存していること。特に、ヒグマは世界的にも高密度で生息しており、シマフクロウなど国際的な希少種の生息地ともなっている。
さらに、英国のナショナルトラストに倣って全国に募金を呼び掛け、開拓跡地を買い取って原生林の復元をめざす「しれとこ100平方メートル運動」の展開など、知床の貴重な自然が、地元住民の高い意識と地道な努力で守られてきたことも忘れてはならない。
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世界遺産登録で、日本は「世界の知床の貴重な自然や生態系を保護し、未来へと継承していく責務を負ったことになる。
高野副大臣らの今回の視察は、増加が予想される観光客から貴重な大自然を守るルールづくりや、漁業と自然保護を両立させる海域管理計画の策定、サケ科魚類の移動を妨げない河川工作物(ダムなど)の対応のあり方などを探ることが目的。
関係者との意見交換で、スケトウダラの一大漁場である羅臼町の脇紀美夫町長は、世界遺産の登録決定を喜んだ上で、海域管理計画の策定について「漁業者には、新たな漁業規制がかけられるのではないかとの不安が根強い」とし、改めて漁業と海洋生態系の保護の両立を要請。また、「焼却施設を持たないわが町にとって、観光客によるごみ問題は深刻だ」と強調、町としても観光客に有料でごみ袋を購入してもらう取り組みを開始したことを紹介した上で、ごみ問題への何らかの対応を求めた。
一方、午来昌(ごらい さかえ)・斜里町長は、近年、ヒグマの目撃数が増加していることから「区域内のパトロールや調査などを行うレンジャーを増やしてほしい」と要請。観光客の増加を見込んだ関係施設の整備や、増えすぎたエゾシカによる深刻な農林業被害への対応も要望した。
ほかにも、登録区域内に50基以上あるダム問題でも、サケ科魚類の遡上を可能にするような何らかの解決策を見いださなければならない。
「世界の知床」と人間が共栄していくため、自然遺産に登録されている屋久島や白神山地の教訓を生かし、新たなルールづくりに知恵を絞る必要がある。
釧路湿原で自然再生
NPO等と連携・協働で
森林回復のモデルづくり
高野副大臣ら視察団一行は、ラムサール条約のわが国初の登録湿地でもある釧路湿原(釧路市など)を訪れ、自然再生事業の取り組みを視察した。
釧路湿原は、わが国最大の湿原であり、タンチョウやキタサンショウウオ、イトウなどの希少種を含む多様な野生動植物が生息・生育している。しかし、周辺地域の開発などで土砂や栄養分が流入し、湿原の減少が進行してきたことから、自然再生の必要性が叫ばれてきた。
これに対し環境省ほか関係省庁と地元自治体、NPOなどが連携し、湿原の再生や河川の再蛇行化、森林の再生、農地や河川からの土砂流入防止などの自然再生の取り組みを開始。公明党の推進で成立した自然再生促進法に基づき、設置された「自然再生協議会」では、1年あまりの議論を経て、今年3月に自然再生の全体構想が策定されている。
今回の視察では、自然林回復に主眼を置いた森の再生のモデルづくりを進める達吉武(たっこぶ)地域(釧路町、標茶(しべちゃ)町)の取り組みについて、NPOをはじめ多くの地元関係者が連携・協働し、科学的なデータを基に議論を重ねながら丁寧に進めている現状を確認。
高野副大臣は「引き続き、関係各省や地元自治体、NPOや専門家とも十分に連携・協力しながら、釧路湿原の自然再生事業を着実に推進していきたい」と語っていた。
このほか一行は、釧路湿原野生生物保護センター(釧路市)を訪れ、傷ついた希少生物を治療し野生復帰させる取り組みなどを見て回った。
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