○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました教育関連法案について、安倍総理に質問いたします。
公明党は、教育の目的は人格の完成であり子供の幸せのためであるとの観点から、教育現場の声に真摯に耳を傾け、読み聞かせ運動や食育の推進、奨学金の拡充、幼児教育の充実など、未来を担う子供たちの健全な成長のために、結党以来、教育の課題に全力で取り組んでまいりました。
そして、本年三月六日には、いじめや不登校、教育格差といった問題が大きく取り上げられる中、「現場からの教育改革」と題して緊急提言を発表し、更なる具体的な取組を行っているところであります。
今回の教育関連法案の改正は、我が国の教育システムの枠組みを大きく変革するものとなっており、参議院におきましても、教育現場の実態や子供、保護者、教師等の声を踏まえ、審議を進めるべきと考えます。
初めに、学校教育法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
今回の改正では、学校運営の充実や指導体制の強化を図るため、小中学校等に副校長、主幹教諭、指導教諭を置くことができるとしています。教員の方々からは、児童生徒と接し、教えはぐくむという教師としての本来の仕事よりも、そのほかの事務作業に忙殺されているとの声を多数お聞きしております。多忙な教師にとって、新たな職を置くことでどのように負担を軽減していくのか。また、新たな職を置くことは財源の裏打ちが必要となりますが、国は自治体に対し財政支援を行うお考えがあるのか、お伺いいたします。
次に、学校評価につきましては、法律に規定することにより、教員等への管理強化につながるのではないかとの懸念があります。学校の自主性、創意工夫を促すためには、昨年三月に示されたガイドラインで足り得るのではないかと考えますが、御見解をお伺いいたします。
続いて、教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案について質問いたします。
教員免許更新制につきましては、教員の必要な知識や技能の刷新を図るための制度であり、講習内容の充実が重要です。また、教員の資質向上につながる免許制度改革のためには、大学の教育課程制度そのものの評価が必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。
次に、指導が不適切な教員の認定の法制化と、その前提となる教育公務員特例法の根幹理念である教員の身分尊重との関係についてお伺いいたします。
指導が不適切な教員に対して、各都道府県で研修体制を整え、既に対応しているところであります。今回の改正では、認定の手続や研修の法的な位置付けが盛り込まれましたが、任命権者による不適切な教員の認定に当たっては、認定の公正さをどのように担保するかが重要と考えますが、御見解をお伺いいたします。
続いて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
今回の改正では、文部科学大臣が教育委員会に対し、是正の要求や指示することを可能としています。特に指示の行使については、地方分権の趣旨を尊重し、その目標を達成するために必要最小限度とするほか、自治体の自主性、自律性に配慮しなければならないのは当然のことであります。
また、通常、都道府県知事を始めとした首長ですら関与しにくい独立行政委員会である教育委員会に対し、国が直接指示を行えるようにするのであれば、児童生徒の生命にかかわる例外的かつ緊急的なときに限り、首長に対しても、文部科学大臣と同様、教育委員会に対し指示を行う権限を与えるべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
次に、私立学校に関する教育行政の在り方についてお伺いいたします。
法案の検討段階で、知事部局が担当している私立学校への指導を教育委員会が一部担うという考えが示されました。これに対して我が党は、教育基本法また私立学校法の基本理念である私立学校の自主性、独自性を尊重する立場から、現状維持を強く主張いたしました。その結果、基本的には現行制度が維持され、教育委員会が私立学校に対して直接関与は行わないということになりました。
今回の法改正では、知事が必要と認めるときは、教育委員会に対し学校教育に関する専門的事項について助言又は援助を求めることが可能となる内容となっております。
ここで助言、援助を求める専門的事項というのはどういう事項なのか。教育委員会が知事に助言を行う場合、また所轄庁たる知事が一般的に私学行政にかかわる場合においても、私立学校の自主性を損なわないよう明確な法的歯止めをすべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
昨年末に大きな社会問題となったいじめや未履修問題については、その対応の在り方や責任の所在をめぐって、国や教育委員会、学校の在り方について様々な議論を呼びました。教育は、子供たちや地域住民に身近な学校、市町村がそれぞれの特色を生かして主体的な活動を展開していくことが重要です。そして、教育の実施主体はあくまで学校であり、学校ごとの裁量を広げ、教員の創意工夫が生かされるようなシステムを構築すべきであり、国や地方自治体は学校をサポートする立場に徹するべきと考えます。戦後の教育行政は、管理監督型からサポート型への理念の転換に意義があり、この基本精神は今後も重視すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
これからも公明党は現場第一主義に徹し、何よりも子供たちのためにより良い教育環境づくりに全力で取り組むことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 鰐淵洋子議員にお答えをいたします。
副校長等の新たな職の設置による教員の負担軽減についてのお尋ねがございました。
今回の副校長等の新たな職の設置は、学校が抱える課題に校長を中心として組織的、機動的に対応する体制を整備するものであります。このような組織運営体制を整備することによって、副校長や主幹教諭が権限と責任を持って担当する校務を組織的に取りまとめ、効率的に処理することが可能となり、その結果、教員の事務負担も軽減される方向になるものと考えます。
新たな職の設置に伴う国の財政支援についてお尋ねがありました。
副校長、主幹教諭及び指導教諭の設置に当たっては、各都道府県において、その職務と責任にふさわしい給与を支給する必要があります。政府としては、総人件費改革など行政改革を推進しつつ、これら新たな職の設置が意味のあるものとなるよう、めり張りを付けた教員給与体系を構築していく中で必要な措置を講じてまいります。
学校評価についてお尋ねがありました。
学校評価については、昨年三月に学校評価ガイドラインを策定し、自己評価などの具体的な手法等について目安をお示しをしています。学校評価の更なる定着と推進を図るため、今回の学校教育法改正案においては、各学校が評価を行い、その結果に基づき運営改善を図ることについて規定をいたしています。この規定は、教職員等への管理強化を意図するものではなく、学校の創意工夫により、学校評価の取組が一層進むことを目的とするものであります。
免許更新講習の内容の充実と教員養成課程の評価についてお尋ねがありました。
講習内容の充実は、更新制を実施する上で最重要の課題と認識しており、講習を修了した教員が自信と誇りを持って教壇に立つことができるよう、適切な基準やガイドラインを示し、全国的な水準の確保を図ってまいります。
また、学校における教員養成課程の評価については、定期的に自己評価を行い、問題が認められた場合には是正勧告や認定の取消し等を可能とする制度的措置を講じていくこととしており、これにより教員養成課程の教育水準の向上を図ります。
指導が不適切な教員の公正な認定についてお尋ねがありました。
今回の教育公務員特例法の改正案においては、指導が不適切な教員を任命権者が認定するに当たり、専門家や保護者の意見を聴かなければならないこととしております。また、事実の確認の方法や手続については教育委員会規則で定めることとしておりますが、国としても指導が不適切な教員の認定が公正かつ適正に行われるようガイドラインを示してまいります。
文部科学大臣と同様、地方公共団体の長、いわゆる首長にも教育委員会に対する指示権を与えるべきとのお尋ねがございました。
首長が教育委員会に対して指示する権限を持つことは、教育委員会を首長から独立した行政委員会とした趣旨にそぐわないものと考えます。なお、今回の地教行法改正案では、文部科学大臣が指示を行うに際しては首長に対し通知することとしており、首長は教育委員の任命権者であり、予算の調整権等を有する立場にあることから、教育委員会に対して支援等を行うことが望まれると考えます。
私立学校に関する教育行政についてお尋ねがありました。
知事が教育委員会に求める学校教育に関する専門的事項についての助言、援助としては、例えば学習指導要領の内容や特別支援教育に関する技術的、専門的な助言や援助、情報提供などが想定されており、これらは政策的な判断を伴うものではありません。また、今回の地教行法改正案の趣旨は、私立学校に対する知事の権限を変更するものではなく、私立学校の自主性を損なうことにはならないものと考えております。
このような改正案の趣旨にのっとって、知事や教育委員会が具体的にどのような対応を行うべきかは、国会で法案をお認めいただければ、国会での御議論も踏まえ、文部科学省において通知等で明らかにしてまいります。
教育行政の理念についてお尋ねがありました。
教育は、子供たちや地域住民に身近な学校がそれぞれの創意工夫を生かして主体的な活動を展開していくことが重要であります。このため、これまでも教育課程、予算、人事など、学校運営に関する学校の裁量を拡大するための取組を行ってきたところであります。
今後とも、昨年改正された教育基本法を踏まえ、国と地方公共団体の適切な役割分担及び相互の協力の下、学校の主体的な教育活動を支援してまいります。
以上であります。(拍手)
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