○議長(扇千景君) 鰐淵洋子君。
〔鰐淵洋子君登壇、拍手〕
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案について、小泉内閣総理大臣並びに尾辻厚生労働大臣に質問いたします。
本法案は、障害者の自立と社会参加を支援する観点から、これまで障害種別に分かれていたサービスを一元化し、市町村を中心とするサービス提供の体制を確立するものです。また、国の財政責任を明確化する義務的経費への転換により、サービス給付の財政基盤を強化することなどが盛り込まれ、サービスの地域間格差を是正し、障害者福祉施策の向上を図るものとして評価できるものと考えます。
しかしその一方で、これまでの応能負担から、サービスの利用量に応じた応益負担の導入が盛り込まれ、障害を持つ方々には厳しい要素も含まれており、様々懸念の声をいただいていることも事実であります。
公明党は、昨年の障害保健福祉施策のグランドデザイン案の発表以来、障害者団体との意見交換を重ねてまいりました。また、法案化に当たっては、障害者やその御家族の意見を十分に伺い、慎重な検討を行うよう繰り返し要望を行ってきたところであります。
本法案の審議に当たり、現場の実態やニーズを踏まえ、懸念される点について更に検討を行うとともに、きめ細やかな配慮措置や柔軟な対応策を盛り込むことによって、真の自立支援へとつながる法整備の実現を目指すべきと考えます。こうした観点に立ち、以下、質問をいたします。
初めに、支援費制度の評価と、新たな自立支援システムへの転換についてお伺いいたします。
平成十五年四月から始まった支援費制度は、障害者の自己決定権の尊重という理念の下、措置ではなく契約によるサービス提供を可能とし、障害者の地域生活を後押しするものとして極めて重要な役割を果たしてきたと思います。また、制度の導入により、潜在的なサービス需要が掘り起こされる一方で、財源不足による見直しの必要性が指摘されてきました。いかなる制度であれ、障害者の自立と社会参加をいかに保障し、将来にわたって持続可能な制度を築き上げるということが重要ではないでしょうか。こうした観点から、今回の改革の必要性、意義について、厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、障害福祉サービスの利用者負担の見直しについてお伺いいたします。
これまでの福祉は、税金を使って国の機関が行政措置として行ってきました。この制度の大転換となったのが五年前から実施された介護保険制度だと思います。障害者の生活を保障しつつ、障害者が権利として購入したサービスについて、その費用の一部を利用料として御負担していただくというこの制度は、これまでの福祉に対する考え方を大きく変えるものでした。障害者の福祉においてもこの考え方を導入する必要性と意義について改めて確認したいと思いますので、御説明をお願いいたします。
また、障害福祉サービスの利用者負担を求めるに当たっては、低所得者への十分な配慮が必要です。その負担の上限額の設定について、本法案では、利用者本人の所得だけでなく、世帯の所得状況を勘案することとなっています。この点につきましては、障害者の自立支援や扶養義務の撤廃という観点から、障害者本人の所得を基本とした上限設定が図られるよう検討すべきであり、そのような方向で検討が進められているとのことですが、具体的にどのようにお考えか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、サービス体系の再編について質問をいたします。
本法案では、ALS等極めて重度の障害者に対し、ホームへルプサービスを始め複数のサービスを適切かつ柔軟に確保する仕組みとして、重度障害者等包括支援の創設が提案されております。しかし、その対象者の範囲や給付水準等について、最重度の障害者が実際に地域で暮らせるような基準を確保できるのかという不安の声が上がっております。この基準設定に当たり、支援対象を狭くすることや介護等のサービス水準が大きく低下することがあってはならないと思います。特に、最重度の障害者に対する長時間介護サービスが十分に確保されるよう配慮する必要があると考えますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、自立支援医療についてお伺いいたします。
本法案では、これまでの精神通院公費、更生医療、育成医療を再編し、新たな自立支援医療制度へと統合することになっており、医療費と所得の双方に着目した新たな負担の仕組みが提案されています。この医療費負担については、一割負担を原則としつつ、低所得者やいわゆる重度かつ継続の方には負担上限額が設けられることになっております。この点につきましても、所得の状況や医療費負担の実態を踏まえ、治療の中断につながることがないように、適切な負担水準の設定と対象となる疾病の範囲について十分な配慮を行うべきと考えます。
衆議院において、与党の提案により、この自立支援医療の施行期日が平成十七年十月から平成十八年一月へと修正されたこともあり、施行期日までに、より障害者の実態を踏まえた配慮が加えられるとともに、各自治体における実施体制に万全を期していただきたいと思いますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
また、医療費負担を定める際も、障害福祉サービスと同様、利用者本人の所得を基本とした上限設定、減額措置の仕組みにすべきであると考えますが、併せて厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、グループホームとケアホームの対象者の範囲についてお伺いいたします。
本法案では、常時介護が必要な方のためのケアホームと就労をしている方のためのグループホームの創設が盛り込まれております。しかし、現在、障害の程度が異なる方が一緒に居住しているケースもあり、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、当事者の居住の場の選択権を保障することが必要ではないでしょうか。障害程度の区分により住む場所が限定されることがないよう現在検討が進められていると承知はしておりますが、改めて厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
また、このグループホームやケアホームの規模、人員配置、報酬等の基準については、それぞれのサービスにふさわしい基準となるよう十分な検討を求めますが、併せて厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
次に、就労支援についてお伺いいたします。
障害者の所得保障を確立する上で、就労支援の充実が極めて重要です。障害者の方の中には、働く意欲がありながら、能力向上のための機会に恵まれず、その潜在的な力を発揮できない状況にある方もおられます。これらの方々が地域社会や職場の一員として普通に働ける社会をつくることが、障害者政策の目指すべきものであると思います。本法案において、障害者の就労を促進する観点から、就労移行支援、就労継続支援等のサービスを設けていることは高く評価していますが、福祉と雇用のネットワークについて、具体的にどのような連携を考えておられるのか、また、福祉と雇用が連携した就労支援により、障害者の雇用はどの程度促進されると見込まれるか、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
私は、今回のこの大きな改革を、支援費制度の財政的な行き詰まりに対処するための、言わば財政サイドの改革であると矮小化して理解することがあってはならないと思います。今回の法案は、二十一世紀の総合的な障害者政策の改革のスタート地点に立ったもので、今後さらに、サービスの質と量の両面における充実を図る必要があると考えます。その際、衆議院における修正で明記されたように、難病などのいわゆる谷間の障害も含め、障害者の範囲の在り方についても検討を重ねていく必要があると考えます。
また、今回の改正で、障害者が身近な地域で必要なサービスを受けることができる地域生活支援事業が創設されました。これは市町村等の実情に応じて弾力的に実施されることになっており、相談支援、移動支援、コミュニケーション支援、地域活動支援センターなど、障害者の日々の生活を支える上で不可欠な事業であり、市町村の責任とその財源の確保が極めて重要になってきます。
この法案をより普遍的な障害保健福祉の制度としていくために、今後、障害者自立支援施策をどのように展開されるのか、目指すべき方向、また、これに取り組む厚生労働大臣の御決意をお伺いいたします。
最後に、小泉総理大臣にお伺いいたします。
現在、郵政民営化に代表される、民間の活力を生かす構造改革が推進されておりますが、障害のある方もない方もともに地域で暮らしていく共生社会実現のための障害者福祉施策の改革を進めることは極めて重要であると考えております。
公明党は、立党以来、福祉の党という理念を堅持し、これまでも障害者基本法を始め、ハートビル法や交通バリアフリー法等の制定など、ノーマライゼーションの理念を具現化し、障害者の自立と共生社会の実現を図るための法整備に全力で取り組んでまいりました。
(発言する者多し)
○議長(扇千景君) 静粛に。
○鰐淵洋子君(続) 本法案の目的に「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現」とあります。これこそが私たちの目指すべき社会であり、公明党が提唱してきた共生社会、ユニバーサル社会の構築と考えを一にするものであります。こうした社会を実現するためには、障害保健福祉の分野のみならず、あらゆる分野における施策の充実や、理解、交流の促進が重要ではないでしょうか。
政府の障害者施策推進本部長であられる小泉総理大臣の今後の障害者施策の在り方、それに取り組む御決意をお伺いいたします。
障害の有無にかかわらず、人間はひとしく幸福になる権利を持っています。その実現のための法整備になることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 鰐淵議員にお答えいたします。
障害者施策でございますが、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会を実現するために、障害者自立支援法案では、介護や就労支援に関するサービスの充実を図っております。
障害者も社会の一員として自立し、あらゆる分野でその能力を最大限発揮することができるよう、今後とも政府一体となって社会のバリアフリー化に取り組んでまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
○国務大臣(尾辻秀久君) 支援費制度の評価と改革の意義についてお尋ねがございました。
支援費制度は、施行後、多くの方が新たにサービスを利用できるようになるなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしていると評価をいたしております。
しかしながら、同時に、先ほどもお答え申し上げましたけれども、地域間の格差が大きいこと、精神障害者が対象となっていないことなど、様々な課題を抱えていると認識をいたしております。
このため、今般、支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位の理念を継承しつつ、障害者の自立した地域生活の支援を一層推進するため、見直しを提案をいたしておるところでございます。
定率負担導入の考え方についてのお尋ねがございました。
一昨年に支援費制度が施行されて以降、障害福祉サービスを実施していなかった市町村が新たに事業に取り組むこと等により、急速に給付費が増大しているところでありまして、今後とも、増大するサービスを確保していくためには、福祉サービスの利用者の方々を含め皆で支え合っていくことが必要でございます。
このため、法案においては、サービスの利用量と所得に着目した費用負担の仕組みを導入するとともに、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものとすることとしており、これらにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運営することができるものと考えております。
利用者負担を求めるに当たりましては、障害基礎年金のみで生活している方や資産の乏しい方がおられることを考慮して、各般の負担軽減措置をきめ細かく講じ、障害者が暮らしていく上で支障が生じないようにするための仕組みを提案しているところであります。
これらにより、必要なサービスを確保しながら障害者の地域における自立した生活を一層支援してまいりたいと考えております。
利用者負担の月額負担上限を設定する際の同一世帯の範囲についてのお尋ねがございました。
従来の支援費制度における費用負担につきましては、障害者本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務が課されておりましたけれども、障害者自立支援法案におきましては、扶養義務者の負担を廃止をいたしまして、障害者本人又は障害児の保護者を法律上の負担義務者としたところであります。
利用者本人の負担につきましては、負担の限度額を設けることとしておりますけれども、限度額の設定に当たりましては、経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえまして、介護保険制度などと同様、生計を一にする世帯全体の負担能力で判定することを提案いたしておるところでございます。
ただし、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供等がいる場合であっても、その親、兄弟、子供等が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、生計を一にしていないこととみなすことができるため、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。
最重要度障害者に対する長時間介護サービスの確保についてお尋ねがございました。
新制度におきましては、特に重度の障害者への支援を確保していくため、重度障害者等包括支援といった新たな給付類型を創設することとしております。その具体的な対象者やサービス水準につきましては、ALS等極めて重度の障害者の方々のサービス利用の実態等も踏まえながら、地域で暮らす重度の障害者の方々に適切なサービスが確保されるよう十分検討してまいります。
自立支援医療についてお尋ねがございました。
自立支援医療制度におきましては、低所得の方や継続的に相当額の医療費負担が発生する重度かつ継続の方について月額の負担上限額を設け、医療費負担が家計に与える影響に配慮することとしております。この重度かつ継続の範囲につきましては、その範囲を明確にするため、検討会を設置し検討に着手したところであり、特に精神通院医療の重度かつ継続に関する当面の結論については、夏の間に結論を得て適切に実施してまいりたいと考えております。
また、平成十八年一月の施行に向けて事務処理の方法についてできるだけ速やかにお示しし、地方自治体が障害者の方々に十分周知しながら円滑に実施できるよう努めてまいります。
自立支援医療の利用者負担に関する世帯の単位についてお尋ねがございました。
自立支援医療につきましても、御指摘のように、福祉サービスと同様の扱いとすることが適当と考えております。また、自立支援医療には、基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能もあることなどから、月額の負担上限を決める場合は、障害者本人と同じ医療保険に加入し、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則といたしますけれども、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合にあっても、その親、兄弟、子供が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人と配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。先ほどお答えしたとおりでございます。
ケアホームとグループホームの対象者についてお尋ねがございました。
新制度におきましては、現在のグループホームを、介護が必要な方を対象とするケアホームと就労している方等を対象とするグループホームに分けることにより、より利用者の状態像に合った適切なサービスが提供されることとなると考えております。
なお、現在のグループホームにつきましては、現に様々な障害程度の方々が同居しておられる実態もありますことから、事業者が責任を持って利用される方にふさわしいサービス提供をすることを前提に、グループホームの対象者とケアホームの対象者が同居できることとし、その具体的な条件については関係者の意見も聞きながら検討をしてまいります。
グループホームやケアホームの基準についてお尋ねがございました。
グループホーム等の運営の在り方につきましては、利用者への日常生活面の支援を通じ、地域において共同生活を支えるという機能を果たすこと、利用者の障害の程度に応じ適切なサービスを確保すること、事業者の工夫や経営努力を生かしていくことなどを基本として検討していく必要があると考えております。
今後、こうした視点に立って、新制度におけるグループホーム等の規模、人員配置、報酬等の基準について、現在の運営実態や問題点を踏まえ、関係者の御意見を伺いながら、利用者の状態にふさわしいサービスが提供されるよう十分に検討してまいります。
福祉と雇用の連携による就労支援についてのお尋ねがございました。
今回の改革では、福祉施設とハローワークが連携し、就職を希望する者に対し、就職の準備段階から職場定着に至るまでの一貫した支援を行う仕組みづくり、就職支援に実績を有する福祉施設がそのノウハウを生かして、より効果的な職場適応援助を行うことを目的としたジョブコーチ助成金制度の創設などを実施することにより、福祉施策と雇用施策の両面から一貫した支援を行うこととしております。
このような取組により、施設利用者の約四割が一般就労を希望していながら、実際に一般就労した障害者が約一%程度であるという現状が段階的に改善され、相当程度の方が一般就労に移行できるようになっていくものと期待をしておるところでございます。
今後、福祉と雇用の連携を強化しながら、障害者お一人お一人の実情に応じた適切な就労支援を積極的に推進してまいります。
今後の障害者自立支援施策の展開についてのお尋ねがございました。
障害者自立支援法案は、障害者の地域における自立した生活を一層支援するため、市町村を中心としたサービス提供体制を構築しようとするものであり、障害保健福祉施策にとって大きな一歩になるものと考えております。
今後は、まずこの法律の早期の成立をお願いするとともに、御指摘の地域生活支援事業などに必要な予算の確保に努め、施行に万全を期すことが重要と考えております。
また、施行後三年を目途として、この法律の規定について障害者等の範囲を含め検討することとされておりますことから、厚生労働省としても、不断の見直しや検討を行うとともに、関係省庁と連携を図り、障害のある人もない人もともに生きる共生社会の実現に向けて努力してまいります。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
|